2025.11.22
【レポート】近未来との遭遇、モビショー JAPAN MOBILITY SHOW 2025
「空飛ぶ車」でのVR移動体験や自動車メーカーの「AIロボ」、クルマづくりの技術を生かした「ロケット」、
AI化された100年後の東京を描いたアニメ、さらに環境にやさしいサステナブル原料100%使用の自動車タイヤなど、
近未来と遭遇する一般社団法人、日本自動車工業会(JAMA)が主催する「ジャパンモビリティショー2025(以下、モビショー2025)」が東京都江東区、東京ビッグサイトで10月30日〜11月9日まで開催されました。

モビショー2025には、過去最高の520社を超える団体や企業の出展と多くの家族連れが訪れ、
過去最多の100万人以上の来場者で賑いました。
今回のモビショー2025は、モビリティの進化に触れて未来への出会いを体験できる「Tokyo Future Tour 2035」や
過去の栄光を含めて多様なモビリティ文化をフォーカスする「Mobility Culture Program」、
モビリティ産業の振興に向けたスタートアップ企業との輪を広げる「Startup Future Factory」、
クルマ愛に満ちた人々が未来を語る「未来モビリティ会議」、さらに小学生以下の子供たちがモビリティに関わる
職業体験を楽しむ「Out of KidZania in Japan Mobility Show 2025」など
様々なプログラム企画を幅広い世代の人々が楽しみました。

モビショー2025では、従来同様に国内外の自動車メーカーの新型車やコンセプトカーも多数展示され、
とりわけ欧州や東南アジアでの販売が前年比の300%に迫る勢いの中国EV最大手・BYDは、
日本市場向けにDM-iと呼ばれる動力伝達機構を搭載した「Sealion 6」を披露すると共に、
日本の軽自動車市場向けに設計製造された軽EV「Racco」も展示されて注目を集めました。

タウンユースに適した軽自動車のシェアがいまや30%を超えて女性ユーザーの約半数が軽自動車を愛用している日本、
きっと軽EV「Racco」は多くの女性ユーザーに受け入れられるでしょう。
日本の軽自動車は、PP100(車100台当たりの不具合指摘件数)で最高ランクを受賞したダイハツムーヴキャンバスの様に、
その品質と経済性から日本国内ばかりでなく世界からも注目される日本が誇るもう一つの名車とも言えるでしょう。

一方、国内の自動車メーカーに目を向ければ、圧倒的に注目を浴びたのがトヨタのセンチュリークーペでした。
高級ホテルや高級リゾートの上質で洗練されたセンチュリークーペの車内を一目見ようとセンチュリークーペには多くの行列ができていました。
ホンダのブースでは、陸、海、空、そして宇宙領域に至るまで幅広いモビリティの展示がありました。
併せて、地球環境保護と豊かなクルマ社会の両立を目指して回収した使用済みアクリル樹脂を
再利用して作られたクルマの展示やかつての人気車、電動化されたホンダプレリュードにも多くの来場者が訪れていました。
また、ホンダは電動化時代に向けた次世代EV「Honda 0 (ゼロ) シリーズ」を出展していました。
このHonda 0(ゼロ)シリーズは、「Thin, Light, and Wise.(薄い、軽い、賢い)」というクルマづくりの原点に立ち返ってゼロから独創的な発想でつくられた「Honda 0 SALOON」や「Honda 0 SUV」といった従来のEVの常識を覆す次世代のEVです。
日本では、「Honda 0 SALOON」、「Honda 0 SUV」、「Honda 0 α」の3つのラインアップを2027年度中に発売する予定です。
世界初公開の「Super-ONE Prototype(スーパー・ワン・プロトタイプ)」は、日常に新たな刺激とEVならではの圧倒的な加速で高揚感をもたらす小型EVも展示されていました。
Nシリーズとして進化してきた軽量なプラットフォームを活用し、軽快でキビキビとした走りを実現すると共に左右に張り出したブリスターフェンダーによってトレッドを広げたワイドなスタンスが安定感のある力強い走りを感じます。
Super-ONEは、2026年より日本を皮切りにアジア各国や英国などの小型EVのニーズの高い地域に販売されるようです。
モビショーで毎回、車体の造形美が印象的なマツダのブースでは今回、「MAZDA VISION X-COUPE」
と銘打ったクロスオーバークーペが展示されていました。このクロスオーバークーペは、微細藻類から精製されたカーボンニュートラルな燃料で動くロータリーターボエンジンとモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドシステムを搭載し、排出されるCO₂を回収する装置も搭載されているとのことです。

一方、オートバイ分野ではホンダは前後両輪にインホイールモーターを搭載した電動オートバイ、
「EV OUTLIER Concept」を初公開しました。たとえ電動オートバイであってもホンダの哲学である人機一体感のある
「操る喜び」の追求は変わらないとのことです。

また、ヤマハでは英国で1920年代に流行したスリーホイーラーの現代版、EVスリーホイーラー(前後輪操舵可能な3輪手動操舵を搭載)が参考出展されていました。
独自の車体構造を持つこのEVスリーホイーラーは、ケーターハムスーパーセブンと大型オートバイの中間的な位置付けでライトウェイトスポーツカーのような人機一体感のあるライディングを楽しめそうです。

さらにヤマハのブースでは、ヤマハ発動機の創立70周年を記念し、ドイツ製オートバイDKWRT125を模範にして製作された
ヤマハの第一号オートバイYA1へのオマージュとしてデザインされた電動アシスト自転車が展示されていました。
この造形美に優れたeBikeは、YA1の車体色に近いワイン色に車体が塗装され、ハンドルは自転車のロールスロイスと称された
英国サンビームなど1920年代の自転車で流行したスワローハンドルが取り付けられ、ノスタルジックに溢れる美しい電動アシスト自転車に仕上がっていました。
2023年のモビショーでも好評だった子供向けの職業・社会体験施設「キッザニア」とのコラボ「Out of KidZania in JMS 2025」は、小学1~6年生限定のメカニックやカーモデラーなどモビリティに関わる10種類以上の職業体験も魅力的なコンテンツで、連日家族連れでにぎわい約26,000人が参加しました。

各メーカーの職業体験の中で、スズキでは次世代モビリティのデザイナーの仕事、
スバルではレーシングメカニックの仕事としてトルクレンチや空気圧計を用いたタイヤ作業、ダイハツでは電動モビリティを組み立てる仕事などを小学1年生~6年生が体験しました。またダイハツが企画した3才以上の未就学児向けの「ぬりえ体験」も人気でした。

(郷古副理事長来場レポート)